"Die Fahne hoch" 「SA−Dolch:突撃隊短剣」 14/02/2006


そう言えばこんなものを持っておりました。NSDAP(Nationalsozialistische Deutsche Arbeiterpartei=「国家社会主義ドイツ労働者党」=いわゆる「ナチ党」=本稿ではNS党とします)の初期における武装私兵組織であった突撃隊(SA=Sturmabteilung)隊員の短剣です。

SA=突撃隊は一時300万といわれる隊員を擁し、参謀長エルンスト・レームの元NS党の中で一大勢力を成しておりました。このSAはレームとヒトラーの考え方の違いもあって徐々にヒトラーの政策とはやや異なる方向を指向して行き、「国家唯一の軍事組織」としての国防軍の対立を招いて、遂には1934年6月30日の「長いナイフの夜」といわれる大粛清を起こすことになりました。この事件の後突撃隊は急速に衰退しますが、組織としては第三帝国の最後まで大きな組織として存在していました。
こういう背景があり、今でもSSの短剣に比べ、隊員数が多かったと思われるSAの短剣は特別なものでない限り比較的安価に手に入れることができます。
本品は何年前か忘れましたが、御茶ノ水にあった古民具骨董館で入手したものです。お店はこの後本郷三丁目に移り、多くの名品希品をわが国に紹介してくれました。

SAの短剣です。短剣吊とセットにしております。
こちらが裏面です。
柄部分です。グリップの部分は茶色の木製です。木製の握り部分の最上部には七宝製の"SA”モノグラムががはめ込まれ、中央部にはいわゆる「党タイプ」の国家鷲章が取付られています。 刀身には"Alles für Deutschland" すなわち「すべてをドイツに」というSAのモットーが刻まれています。銃刀法の定めにより、刀身は残念ながら長さ15cmでカットされていますが、このモットーが残ったのは幸いでした。
鞘はアルミに塗装されたものです。
ピンボケですみません。柄の最上部にはSAのモノグラムが嵌め込まれています。SSの場合はこの円形のマークが黒でSSのルーン文字になります。 柄の最上部にあるのは刀身を留めるボルトの頭です(ナットと言うべきかな)。レンチで六角の部分を廻すと外れるとのことですが、私はやったことがありません。因みに日本軍の指揮刀も同様に柄頭で止まっています。
クロスガード部分のアップです。 モットーの裏側の刀身には「RZMコード」の刻印があります。"RZM"とは"Reichszeugmeiterei der NSDAP"の略で、「NS党装備管理局」あたりがそれらしい訳になりましょうか、党組織の制服・装備・標章などの規格・製造・販売などを監督する部門でした。実際に装備を製造している各メーカーにはRZMからコードナンバーが付与され、これを表示しました。この短剣に刻印されたRZMナンバーは"M7/67/41"となっています。最初の"M"が金属製品を示します。次の数字が金属製品のグループ分けで、M1なら徽章で、M7は短剣であることを示しています。/の次がメーカーのコード番号で"M7/67"は"Gottlieb Hammesfahr, Solingen-Foche"を表しております。次の/の後ろの数字が製造年で、この場合は1941年製であることがわかります。
短剣吊金具です。この金具を利用して左腰のベルトのリングから斜めに下げるのが一般的です。 短剣吊りの裏側です。RZMコードナンバーの"M5/8"は"M5"が「制服付属品」"M5/8"でメーカーである"E W. Assmann & Söhne, Lüdenscheid" を示します。「アスマン親子商会」は軍の記章・徽章などでも著名です。